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原告 訴状添付陳述書(母)

家族旅行


陳述書(提訴に当たって)

伊藤啓子

晃平は4人目、男の子の誕生を祈って待ちに待って産まれてきた男の子。神様っているんだなと家族で大喜びでした。
 病気知らずでとても元気に成長していき、1才半頃から言葉も話しだして、その後も順調に言葉も多くなり、生まれて初の沖縄への飛行機の初体験もしました。どこまで大きいのと思うほどのホテルの大きなプールも、母親の心配をよそに、とてもとても大はしゃぎして遊んでいました。
 後に気がついたら言葉も消えていて、3才には自閉症という障害をもっていたことがわかりました。その時はとても驚きましたが、晃平の笑顔を見ているとその不安もなくなりました。

 専門家から、ちよだ学園を勧められ入園しました。親子して初めての場所で少々心配もしましたが、言葉はないものの、先生にも良くしてもらい順調に通園できました。ちよだ学園に入って初めて、工夫をしたら一人で靴がはけるようになり、涙が出るほど感動しました。成長のスピードはゆっくりで時間もかかりますが、晃平の笑顔や成長を見ているうちに、晃平は「お母さん、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」と言っているように思いました。
 2年弱、家族のように先生も指導してくれて、とうとう卒園の時には、小学校、中学校、高校も本気にあればいいのになと思ったほどです。

 今度はまた守山養護学校という初めての場所。ここも6年間通いました。小学の2年の時に初めての晃平の反抗期。言葉では伝えられないので、何とか自分の意思を伝えようとあの手この手でいろいろな方法を使って知らせてきて、かわいい姿だなと感じました。

 我が家の毎年の夏休みのイベントの旅行も、晃平用に作戦を家族で考えたりするのも、いつしか楽しみになっていました。成長するとともに作戦も違っていて、実際に旅行に行くと晃平用の作戦もいらなくて嬉しく思いました。たくさん食べて、たくさん遊んで、たくさんの経験をして「また行こうね」晃平によく話していました。そんな時は嬉しそうな表情で次の旅行を待っていると伝わってきました。大浴場はお兄ちゃんと入っていましたが、大きなお風呂にとてもとても大喜びで入っていました。旅行はマイカーがほとんどで、車大好きで外を見ながら何時間でも退屈することなく乗っていました。サービスエリアで飲んだり、食べたり、公園のあるサービスエリアでは家族みんなで走ったり、滑り台したり、ブランコしたりと楽しい時間でした。

 まさか最後になると思いもしなかった平成19年の秋の西浦温泉のときは、10人以上は余裕で入れる貸し切り風呂で、めちゃくちゃ喜んで入っていました。この様子を見て、翌年の旅行計画をして、全て計画通りに進んでいくと思っていました。誰もがそう思っていました。近い将来、海外もプランしていて、絶対にいけるものだとばかりに思っていました。

 学校行事もそうですが、晃平は本番に強い子でパーフェクトにやってくれました。私にとっては自慢の晃平でした。小学校後半から前ぶれがあり、中学校3年間は●●先生との信頼関係がすばらしく、晃平は自閉症が治ると思うほど大きく大きく成長してくれました。家族と先生との連携プレーで、まわりも驚くほどの成長ぶりでした。

 中学生になって行った家族旅行はやんちゃいうこともなく、ただただ成長したことに感動の連続でした。学校からの一泊旅行も問題なくお利口だったと聞いて、こっそりついて行って見ておけば良かったなと話しながら大笑いしたのも、今となっては思い出になってしまいました。
 日に日に落ち着いて晃平の毎日の姿が楽しみで生き甲斐でした。そこに親として頑張れる私でした。

 高校生活も少しだけでしたが、甘えん坊だった面もあった晃平は、館原先生にべったりとくっついて離れず、とてもかわいがってもらいました。家でも甘えん坊ぶりを発揮していて、よく膝の上にちょこんと座ってきたものです。だんだん大きくなってきて重いなと言いつつも、晃平の笑顔に重さも忘れてしまうほどです。

 もみじの様な手からいつしか大きさも追い越され、それでもいつでもどこでも手をつないでいました。今でもその感触は、はっきりと覚えています。
 しゃがんで話していた晃平も見上げるほどになってしまい、心身共に順調に成長していたのに、いない現実を信じることができません。
 新品の晃平用の服。一体誰が着るのでしょうか。晃平用の服なので晃平以外、誰も着る人がいません。

 人もミスによって瞬時に15才の命を奪われるなんて絶対にあってはならないことです。まだまだ山ほどのいろいろな経験をさせてあげたかったのに今はそれも叶わなくなってしまいました。
 病院で見た姿。あんなの晃平じゃないです。
 いつも走り回って笑顔いっぱいが晃平なんです。

平成21年5月27日

名古屋地方裁判所 御中